給料が2か月分も遅れている工場で働くE-9労働者がいます。社長は「来月には払う」と繰り返すばかりで、勤務先を変えたいと言えば「私が同意しなければ君は出て行けない」と言います。その言葉を信じて待っているうちに会社が突然たたまれ、そこでようやく雇用センター(고용센터)を訪ねることになります。ところがここからは時間との戦いです。申請が遅れると在留資格そのものが揺らぐからです。
E-9(非専門就業)の事業場変更(사업장 변경)は、雇用許可制のなかで最もミスの多い手続きです。申請期限1か月、再就職期限3か月という2つの時計が同時に回っていて、そこに回数制限と圏域・業種の制限まで重なるからです。雇用許可制の全体像(入国手続き・再雇用・保険)は雇用許可制EPSの概要に別途まとめてあり、この記事は「勤務先を移す実務」だけを扱います。
変更が認められる事由から、雇用センターへの申請と求職登録、出入国での勤務先変更許可、期限を過ぎたときのリスク、事業主が転職を止めようとするときの対応まで、順を追ってたどっていきます。
以下の期限・手続き・制限は2026-08時点の公開情報に基づいています。雇用許可制の規定は頻繁に変わり、入国時期・業種・滞在履歴によって適用が変わるので、実際に申請する前に外国人雇用管理システムEPS(eps.go.kr)と管轄の雇用センター、ハイコリア(hikorea.go.kr)で必ず再確認してください。
事業場変更が認められる事由から確認しましょう
E-9労働者の事業場変更は、外国人雇用法(外国人労働者の雇用等に関する法律)第25条が定めています。いつでも自由に移れるわけではなく、法律が定める事由に当てはまるときに申請できる仕組みです。わかりやすい生活法令情報(easylaw.go.kr)を基準にすると、大きく3つに分かれます。
- 正当な契約解除・更新拒否: 使用者が労働契約を正当に解除した場合や、契約期間が終わったのに更新しないことになった場合です。
- 労働者の責任ではない事由: 会社の休業・廃業、賃金未払い、労働条件違反、暴行・常習的な暴言・セクシュアルハラスメント・差別のような不当な処遇、寮(宿舎)関連の規定違反、労働災害などです。雇用労働部の告示(第2021-30号)に一覧が列挙されています。
- けがなど健康上の理由: けがをして今の事業場では働きにくいものの、他の事業場でなら働ける場合です。
どの区分に当てはまるかが重要な理由は2つあります。あとで見る回数制限に算入されるかどうか、そして事業主の同意が必要かどうかが、ここで分かれるからです。
回数制限 — 3回がすべてではありません
変更回数は、最初の就業活動期間(3年)のうち3回、再雇用特例で延長された期間(1年10か月)のうちは2回を超えられません(法第25条第4項)。ところがこの数字だけを見て「もう使い切った」とあきらめてしまう人がいます。例外のほうが大事です。
休業・廃業、賃金未払い、不当な処遇のように労働者の責任ではない事由で移った場合は、回数に算入されません(法第25条第1項第2号)。会社の事情で何度も移っていても、本人の希望で移るチャンスはそのまま残る仕組みです。ただし告示上、事由ごとに申請の期限が別に付く項目があると案内されているので、自分の事由がどれに当たり、いつまでに申請すべきかは雇用センターで確認するのが安全です。(公式確認が必要)
見落としてはいけない2つの期限
事業場変更では時計が2つ回っています。どちらか1つでも過ぎると在留が危うくなります。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| 1か月 | 労働契約が終了した日から1か月以内に、管轄の雇用センターへ事業場変更を申請する必要があります(法第25条第3項) |
| 3か月 | 事業場変更を申請した日から3か月以内に勤務先変更許可を受けられないと、出国の対象になります(同じ条項) |
例外もあります。業務上の災害・疾病・妊娠・出産のように期間内に申請できなかった事情があれば、その事由がなくなった日から期間を計算し直します。このときは期限延長申請書(施行規則 別紙第13号の3)を一緒に提出する必要があると案内されています。該当しそうなら、診断書などの証明書類をそろえて雇用センターに問い合わせてください。
ステップ別の手続き — 雇用センターから出入国まで
- 会社の雇用変動届の確認: 使用者は労働者の退職・解雇などの事由を知った日から15日以内に、管轄の雇用センターへ雇用変動の届出をする必要があります(違反時は100万ウォン以下の過料、わかりやすい生活法令情報基準)。この届出が遅れると自分の変更手続きも一緒に遅れることがあるので、会社が先延ばしにするなら雇用センターに直接状況を知らせてください。
- 雇用センターへの事業場変更申請: 事業場変更申請書(施行規則 別紙第13号)を管轄の雇用センターに提出します。窓口での受付とインターネット受付のどちらも可能で、パスポートと外国人登録証を持参します。政府24(gov.kr)基準では手数料なし・処理は5日以内(平日基準)と案内されています。
- 求職登録とあっせん: 申請が受理されると求職者名簿に登録され、雇用センターが雇用許可を受けた求人事業場をあっせんする方式が基本です。好きな会社を自分で選んで就職する仕組みではない、という点が重要です。
- 労働契約の締結: あっせんされた事業場と面接をして労働契約を結べば、雇用側の手続きは完了です。
- 出入国での勤務先変更許可: 雇用センターの手続きとは別に、出入国・外国人官署で勤務先変更許可(근무처변경허가)を受ける必要があります(出入国管理法)。ハイコリア(hikorea.go.kr)の電子申請で手続きするか、窓口に行くなら事前予約が必要です。予約方法はハイコリア訪問予約ガイドにまとめてあります。

圏域・業種の制限も確認しましょう(2026-08基準)
2023年10月19日からは、新規入国者(2023年第4回の雇用許可分から)と再入国特例者に地域制限が適用されます。最初に配置された事業場が属する圏域の中でだけ事業場を変更できる方式で、圏域は5つに分かれます。
| 圏域 | 地域 |
|---|---|
| 首都圏 | ソウル・京畿(キョンギ)・仁川(インチョン) |
| 忠清(チュンチョン)圏 | 大田(テジョン)・世宗(セジョン)・忠南(チュンナム)・忠北(チュンブク) |
| 全羅(チョルラ)・済州(チェジュ)圏 | 光州(クァンジュ)・全南(チョンナム)・全北(チョンブク)・済州(チェジュ) |
| 慶北(キョンブク)・江原(カンウォン)圏 | 大邱(テグ)・慶北(キョンブク)・江原(カンウォン) |
| 慶南(キョンナム)圏 | 釜山(プサン)・蔚山(ウルサン)・慶南(キョンナム) |
業種も縛られます。2023年7月の外国人力政策委員会の議決により、同じ業種の中でだけ変更が認められます(製造業→製造業など)。建設・サービス・造船業は、圏域内のあっせんが一定期間つかない場合に他の圏域へ移れるという例外が報道されたことがありますが、正確な条件は雇用センターでの確認が必要です。自分が圏域制限の対象かどうか自体も入国時期によって違うので、あわせて聞いてみてください。(公式確認が必要)
もう一つ — 政府は2026年4月に、事業場変更の事由・回数・圏域制限の緩和を検討する「外国人材の全周期統合管理」の方向性を発表し、下半期に統合支援ロードマップが出る予定だとされています。ただし2026年8月現在は緩和案が施行前なので、上記の制限がそのまま適用されます。申請時点の最新のお知らせを必ず確認してください。
求職期間3か月、こう過ごします
求職期間は最長3か月です。この時期に必ず守るべきことが3つあります。
- 他のところで働いてはいけません: 求職期間に許可なく他の事業場で働くと、出入国管理法上の無許可就業になります。1年以下の懲役または1,000万ウォン以下の罰金、強制退去の対象にまでなり得ると案内されています。生活費が苦しくても、「ちょっとしたアルバイト」が滞在全体を崩してしまうことがあります。(公式確認が必要)
- 失業給付は自動ではありません: E-9は雇用保険の被保険者であっても、失業給付(求職給付)は任意加入をしてある場合にだけ受け取れます。加入していなければ、求職期間は収入がないものとして生活費をあらかじめ計算しておいてください。
- 雇用センターからの連絡を逃さないでください: 就職が雇用センターのあっせんで進む仕組みなので、あっせんの連絡にすぐ応答して面接に行くことが再就職の速さを左右します。電話番号が変わったら雇用センターにすぐ知らせてください。
期限を過ぎるとどうなりますか?
1か月以内に申請できなかった場合や、3か月以内に勤務先変更許可を受けられなかった場合は出国の対象になります。在留資格を維持する根拠がなくなるということです。それでも出国せずに留まると不法滞在になり、強制退去とあわせて、その後の再入国が制限されることがあります。制限される期間は事案ごとに違うので断定はできませんが、また韓国で働く計画があるなら必ず避けるべき状況です。
すでに期限が過ぎているなら、隠れずにすぐ動いてください。災害・疾病など期限延長の事由に当たるか、今の段階でできることは何かを、外国人総合案内センター ☎1345(多言語対応)と雇用労働部の相談センター ☎1350にまず問い合わせてください。滞在の問題がすでに大きくなっている状態なら、ビザ期限切れ後の対処法もあわせて読んでみてください。
事業主が転職を止めようとするとき
「私が同意しなければ移れない」という言葉は、半分だけ本当です。休業・廃業・賃金未払い・不当な処遇のように告示に列挙された労働者の責任ではない事由なら、事業主の同意なしで事業場変更を申請できます。同意を拒否すること自体が変更を止められるわけではありません。
ただしこうした事由は立証が必要です。たとえば賃金未払いは、1〜2回遅れた程度ではなく、一定の割合以上の未払いが繰り返される場合を基準に見ると案内されているので(細かい基準は告示の原文で確認が必要)、給与明細・通帳の入金記録・メッセージのスクリーンショットのような証拠を普段から集めておいてください。事業主と主張が食い違って判断が難しい場合には、外国人労働者権益保護協議会が協議して事業場変更を認める手続きがあると案内されています。(公式確認が必要)
賃金未払い・暴行そのものは、事業場変更とは別に労働庁への申告(陳情)の対象です。相談窓口と申告の方法は外国人の労働問題で助けを受けられるところにまとめました。まれに、会社が仕返しに「所在不明による離脱」を虚偽で届け出るケースもあります。こうしたことが起きたら、管轄の雇用センターにすぐ事実関係を知らせて相談を求めてください。
面接で動き回る時期、移動と決済の準備
求職の3か月は移動の多い時期です。雇用センター、面接に行く工業団地、出入国まで、同じ圏域の中でもバスや鉄道で都市を行き来することが多いからです。ところが韓国の交通アプリの多くは韓国の携帯電話での本人認証や韓国のカードを前提にしていて、寮を出て通信・決済の環境が揺らいだ時期には、予約の段階でつまずきやすいんです。
本人認証なしで使えるように設計された交通・決済アプリを1つ用意しておくと、この動線がシンプルになります。鉄道・高速バスの予約とタクシーの呼び出しを1つのアプリで済ませられれば、面接の時間に遅れてチャンスを逃すことを減らせるからです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 事業主が同意してくれないと事業場を移れませんか? 事由によって違います。休業・廃業・賃金未払い・不当な処遇のような労働者の責任ではない事由なら、同意なしで申請できます。それ以外の場合は労働契約の終了が前提になる仕組みなので、管轄の雇用センターにまず相談するのが安全です。(公式確認が必要)
Q2. 求職期間にアルバイトをしてもいいですか? だめです。許可なく働くと無許可就業として処罰や強制退去の対象になり得ると案内されています。新しい事業場の許可が出るまでは働かないのが原則です。(公式確認が必要)
Q3. 会社が廃業して移る場合も回数3回に含まれますか? いいえ。休業・廃業のように労働者の責任ではない事由で移った場合は、回数に算入されません。自分の事由がどちらとして認められるかは雇用センターが判断するので、証明書類をそろえて問い合わせてください。
Q4. 1か月の期限がもう過ぎました。方法はありませんか? 業務上の災害・疾病・妊娠・出産などで期間内に申請できなかった場合なら、事由がなくなった日から期間を計算し直す期限延長申請の手続きがあります。該当するかどうかと必要書類は☎1345か☎1350にすぐ相談してください。時間が経つほど選択肢は減っていきます。
Q5. 他の地域や他の業種にも移れますか? 2023年10月以降に入国した新規労働者などは、最初に配置された圏域の中、同じ業種の中でだけ変更するのが原則です(2026-08基準)。自分が制限の対象かどうかは入国時期によって違い、政府が緩和を検討中で規定が変わる可能性もあるので、申請前に雇用センターで確認してください。
新しい事業場で再スタート
勤務先変更許可まで受けられたら、あとは新しい会社での時間です。次の関門は、就業活動期間が終わりに近づくときの再雇用と滞在期間の延長です。申請の時期と書類はE-9 滞在期間延長ガイドにまとめてあるので、契約満了の数か月前に読んでおいてください。そして今回移るときに経験したこと(給与の記録・契約書・受付証)をきちんと保管しておけば、似た問題がまた起きても、ずっと早く動けます。
参考: この記事は一般的な情報提供を目的としており、法律・ビザ・滞在に関する助言ではありません。事業場変更の事由・期限・回数・圏域制限は、個人の入国時期と滞在履歴によって適用が変わり、規定も随時変わります。本文の内容は2026-08基準なので、実際に申請する前に必ず外国人雇用管理システムEPS(eps.go.kr)・管轄の雇用センター(☎1350)・外国人総合案内センター(☎1345)・ハイコリア(hikorea.go.kr)でご自身の状況を確認してください。ラチャ(LACHA)は雇用・滞在に関する申請を代行せず、この案内によって生じた結果について責任を負いません。




